海外での店舗開発を経営戦略の一つにしている老舗デパートの高島屋が21日、バンコクチャオプラヤー川西岸の複合コンプレックスプロジェクト「ICONSIAM-アイコンサイアム」内にデパートを出店すると発表した。
高島屋ニュースリリースによると、2017年完成予定の「ICONSIAM-アイコンサイアム」は、「世界の最高がタイの最高と出会う」をコンセプトにし約1,500億円を投資する。約8万平方メートルの敷地面積内には、ショッピングモールやレジデンス、東南アジア最長となる「水と火」などの各種アトラクションを建設する。
「サイアム高島屋」(仮称)の延床面積は、約3万6000平方メートル。地下1階、地上7階からなる店舗は、シンガポールで実績のあるシンガポール高島屋がイニシアチブを握る。タカシマヤシンガポールリミテッドが51%、ICONSIAM Co.,Ltdが49%を出資する合弁会社。
サイアム高島屋は、2016年にベトナム・ホーチミンシティに出店予定のベトナム髙島屋に次ぐ海外出店となる。
サイアムパラゴンやセントラルワールドプラザなどバンコクは買い物天国
バンコクは、東南アジア有数の買い物天国だ。流行の最先端を行く巨大ショッピングモールが林立しており、新規参入も後を絶たない。サイアムパラゴンに始まってターミナル21、エンポリアム、セントラルデパート、日系デパートではMBK(マーブンクロンセンター)に隣接する東急デパート、セントラルワールドプラザの伊勢丹と枚挙にいとまがない。
数ある中でも、筆者のお気に入りはセントラルワールドプラザだ。BTSチットロム駅からほど近く、スカイウォークを使えば雨の日でも濡れないで行くことができる。
広々としたセントラルワールドプラザ館内は、ゆったりとした雰囲気の中で時間を過ごせるのが最大の魅力だ。スターバックスやTRUE COFFEE、COFFEE WORLDでアイスコーヒーを飲みながらネットサーフィンをしたり、おしゃれで新しいテナントが入居するレストラン街も楽しい。タイ人に定番の映画館やスケートリンクなどのエンターテイメントも充実しているし、斬新なイベントも定期的に開催される。
シンガポール高島屋で蓄積したノウハウ、「サイアム高島屋」に期待
バンコクの商業や娯楽の中心はスクンビットやサイアムをはじめとする旧市街側に位置する。一方「サイアム高島屋」は、チャオプラヤー川を渡ったトンブリ地区だ。ウォ-ターフロントは幻想的でおしゃれな雰囲気が期待できる反面、アクセスや商圏の面では旧市街側に一歩譲るだろう。
筆者は何度かシンガポールのオーチャード通り一等地にある高島屋を訪れたことがある。正直に言うと、アクセスのよさとテナントで入る紀伊國屋書店の書庫の豊富さが印象に残っている以外、とりわけ魅力的にうつることはなかった。
高島屋は国内百貨店で唯一、海外事業で安定的に稼ぐ勝ち組。武器はシンガポールで培った事業ノウハウで、成功ぶりは業界でも注目の的だ。「勝利の方程式」をタイにも広げ東南アジアで攻めに出る。
木本社長は21日の記者会見で「高級ブランドから生鮮品までフルラインで勝負し高級感を出す」と訴えた。
日本経済新聞は22日、“高島屋、「勝利の方程式」再び バンコク出店”という記事にこう記している。
トンブリ地区はこれからの地域だ。2017年、新規参入の「サイアム高島屋」が斬新なアイデアと蓄積したノウハウでタイ人のハートをつかみ、バンコクの新名所になることを期待したい。
■「サイアム髙島屋(仮称)」の場所
(更新日 2014年10月26日)