先日、バンコクに住むタイ人の友人からソーシャルアプリ「LINE」を通じてメッセージが送られてきた。何やら日本の「もも」が食べたいらしく、次にタイを訪れるついでにもってきてくれないかと言うのだ。
周知の通りタイは常夏、フル-ツ天国だ。市場に行けば色とりどりで、日本では高級品の南国フルーツ、ドリアンやマンゴーなどを驚くほど安く買うことができる。
一方で、いちごやメロン、桃などタイの気候に合わないフルーツは、高級輸入品として富裕層をターゲットにデパートなどで売られている。
どうやら友人は、インターネットで日本の「もも」をみたようだ。そのかわいらしいピンク色をした、見るからに柔らかそうで繊細な桃が忘れられずに、どうしても味見がしてみたくなったらしい。
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タイに手荷物で果物「もも」は持って行けるの?
結論から言うと、ももは「日本での輸出検査」が必要となる。
日本から海外に野菜や果物を持ち出す場合、持ち込み先の国や地域の法律に従う必要がある。持ち込みが禁止、または制限されている場合や、日本を出国する前に検査が必要な場合があるので注意が必要だ。
バンコクで福島県産「モモ」のPR 今年は1個600円で販売!
東日本大震災による福島第一原子力発電所事故によって、福島県産の農作物は信頼を失った。出荷量はまだ回復していない。いくら厳格な検査で安全が証明されても、風評はなかなか払拭されないのが現状だ。
福島県の内堀雅雄知事は5月、トップセールスで桃20トンをタイに輸出する契約を決めた。これは、前年1.3トンのからの大幅増になる。
その輸出が7月20日から始まり、バンコクのザ・モールグループなど40店舗で販売が開始されている。「CAコンテナ」を使い、輸送費を空輸の10分の1に圧縮し、価格をなんと去年の半額、1個600円に抑えたという。
県は9日、タイの首都バンコクのザ・モールグループ大型ショッピング施設内で県産モモのトップセールスを展開し、菅沼孝雄県観光交流局次長が県産モモのおいしさをPRした。
ザ・モールグループを始め、バンコクの百貨店、スーパーマーケットなど約40店舗で県産モモを販売する。菅沼次長が店頭で試食販売を行った。買い物客からは「モモの香りがさわやか」など好評で、順調な売れ行きだった。同国へのモモの輸出は、本年度から品質劣化を防ぐ特殊な技術を使った「CAコンテナ」を使い、鮮度を保ったまま船便で運ぶ。空輸に比べ、低コストでの輸出が可能になったことで、モモの価格は昨年のおよそ半額で、大玉2個が約1200円だった。
リーファーコンテナをさらに進化させた「CAコンテナ」
海上輸送の場合、温度管理が必要な商品は、リーファーコンテナという冷凍機がついた保温コンテナで運ぶのが通常だ。このコンテナは、-25℃から+25℃の範囲内で細かい調整が可能。
一方、桃の輸送に使われたCA(controlled atmosphere)コンテナは、リーファーコンテナの温度調整機能に加え、酸素と二酸化炭素濃度を調整できる。この機能によってタイまで約12日かかる海上輸送でも鮮度を保つことができる。
「CAコンテナ」によってタイで半額になった福島の桃。友人には、ザ・モールグループの店舗で買ってもらおうと考えている。
(更新日 2016年8月13日)